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第2部 構想30年 現実味増す日韓トンネル

リニアで福岡ソウル1時間、地続きで日本人に意識変革

 政府の諮問機関はこのほど、リニア中央新幹線ルートを決定、14年度には工事が始まる予定だ。リニアモーターカーは地下40メートルより深い地中を走る。日韓トンネルは、現実的には新幹線が先行するが、リニアの実績を生かして導入すれば、福岡―ソウル間が約1時間になり、通勤距離になる日も訪れよう。
(編集委員・山本 彰)

リニアモーターカーも想定した日韓トンネル地下駅部(一般財団法人・国際ハイウェイ財団提供)
 次世代新幹線(時速350キロ)だと福岡―ソウル間が約2時間半、さらにソウル―北京間が4時間ほどで結ばれる。航空機だと、飛行の安全性確保やテロ対策から、搭乗手続きで待機時間がかなり長い。空路と十分対抗できる。

 リニア(時速700キロ)だと、福岡―ソウル間(約650キロ)が約1時間、さらにソウ―北京間(1200キロ)が約2時間で結ばれることになる。

 首相に就任する前の菅直人議員は、「『日韓海底トンネルにリニアモーターカーを走らせる』と構想に関し言明した」(日韓新時代共同研究プロジェクト報告)が、それも夢ではない。

 佐々保雄氏は、日韓トンネルの走体として「リニアモーターカーを考えるべき」(『日韓トンネルプロジェクト』)とし、新幹線の車体もリニアで釜山まで運べば、韓国の線路は新幹線と同じ広軌なので、そのまま走ることができる、と述べる。車は電気自動車の一層の開発と高速化が図れれば、国際ハイウェイ用のトンネルを新設し、疾走可能となろう。

 英仏海峡トンネルは、自動車搭載列車の「ル・シャトル」も走る。日韓トンネルも、こうした形が考えられる。現在、車両は関釜フェリーで一晩かかって運ばれている。欧州では当たり前の光景だが、マイカーに日常の延長で物を積み込み、迅速に半島・大陸にたどり着ける体験は、日本人に意識変革をもたらそう。

 わが国の輸出入は、中国、韓国などアジアの割合が年々増加。09年の輸入総額の対アジア諸国比率が45%、輸出の対アジア比率は実に54%。物流でのトンネル建設効果の期待も大きい。ただ、経済効果を試算するのは将来の日韓トンネル利用による乗降客数、利用代金、コンテナ貨物の輸送個数および料金の設定によって変わる。


 一般財団法人・国際ハイウェイ財団では、利用旅客数が年に、500万〜1000万人(将来の中国、北朝鮮需要も含む)と見積もり、片道の乗車利用代金を1万円(往復2万円)で計算すると、旅客収入は1000億〜2000億円となるとみている。

 さらに、コンテナ貨物の輸送個数を100万〜200万個(往復)とし、料金を1個5万円で計算すると、貨物の輸送収入は500億〜1000億円になる。

 これが北朝鮮を通過した対中国(コンテナ換算50万〜100万個・往復)、さらに対欧州(同50万〜100万個・往復、シベリア・チャイナ両ランドブリッジ経由)との経済効果となると、さらなる増加が見込める。結論として、人および物流を合計した経済効果は、多めに見ると、日韓間と対中国・対欧州を総計して2000億円から4000億円になる、と同財団は試算する。

 なお、日韓トンネルの総工費は約10兆円とされるが、その建設による直接効果と周辺地域の開発という間接効果は、一般的に1対3・8と言われ、経済効果は大きい。採算は十分に取れよう。


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